知り合ってまだ日の浅い頃、某雑誌の取材で赤堀さんにガイドをしてもらうことになった。それは陸上では春を感じさせる季節でも、水温はまだまだ冷たい4月上旬のことだった。
「ダイダイヨウジなんてどうでしょう?それも雄が卵を抱いているやつ」。何かインパクトのある被写体をとお願いすると、そんな答えがすぐに返ってきた。「ヨウジウオであれば、どこかへ言ってしまう事はないのでバッチリだ」と、その提案をすぐに受けた私だった。
しかし窪みにひっそり身を隠しているから、ストロボが上手く当たらない。そのうえクネクネと体を動かすものだから、肝心な卵が分かるような真横の位置にはなかなかなってくれない。おかげで水深27メートル、水温17℃の状況は、容赦なくロクハンの私の尿意を刺激しまくったのだった。
やっとのことで撮影して浮上すると、ドライスーツで強烈な尿意と戦う赤堀さんの姿があった。
「『さきに上がっても良い』と言われても、最後まで案内するのが仕事ですから…」。そんな言葉に、プロのプライドを見たような気がした。
